地政学を学ぶ2

最新図解 いちばんやさしい地政学の本

最新図解 いちばんやさしい地政学の本

地政学について知りたくて、 「マンガでわかる地政学」と一緒に購入した本。

一番優しいと書いているからには、読みやすかろうと思っていたが、 案の定非常に読みやすかった。 発行年月が2020年5月というのもあって、取り扱っている内容も最近聞いたことがある内容が多かった気がする。


この本では地政学とは以下のように説明している。

地政学とは、地図をもとに政治や軍事を考えていく学問です

地理というのは時代が変わっても変わらないため、変わらない地理を元にすることで、それぞれの国や地位が取る戦略というのは自ずと決まってくる。 となると、いくら世界情勢が混沌としてきてもその国が取るべき一貫した正しい戦略があるはずだ、と地政学では考える。

頻出の言葉の「ハートランド」や「パンリージョン理論」など、地政学に関わる専門用語について序盤で説明しており、第二章からは世界各国の戦略を見ていく。 前回読んだ地政学「マンガでわかる地政学」の本と重複する内容が多々あり、地政学の基本情報の良い復習になった。

二つの本を比べると今回読んだ方が図解多めでわかりやすかった。 情報量は少ないかもしれないけど。

メインの各国の歴史や地政学の話も面白かったけど、コラムも面白かった。 地政学の本読んでると、イギリスと日本は同じ島国なのに歴史はだいぶ違うよなと気になっていた。イギリスと比べて日本は世界に進出したのは遅かったし、イギリスは一時世界に海上帝国を作っていたし。

地理的条件を見るとイギリス側は、向かい合う半島にドイツ、東欧諸国があり、その奥には大国ロシアがあり日本側は、朝鮮半島の国があって、その奥には大国中国があるという構造は似ている気がするけど。

そんな疑問を持っていたが、 イギリスと日本の違いについて言及する「海流と地政学」というコラムがあった。 イギリスは海洋に進出するのが容易。日本は海洋に進出するのはリスクがあった、という話。

イギリスとフランスの間にあるドーバー海峡は穏やかであり、イギリスからは編成風に乗って出撃しやすい。中世にはイギリス国王はフランス国内領地を持っていた。 対して日本は、世界でも最大級の強い海流である黒潮が太平洋側を流れ、その支流が対馬海流雨となって朝鮮半島との間を流れている。 大型船でもなければ朝鮮半島や中国大陸との往来は命がけになる。 日本が朝鮮に領地を保とうとすると航海のリスクがある。

イギリスが海上帝国を作るために世界の海に飛び出していったのと対照的に日本は激しい海流に遮られ、海外に進出するほど発達しなかった。逆に、激しい海流があったからこそ日本の国土は守られてきた。

もう一つ。「エネルギーと地政学」というコラム 内容はエネルギー地政学の中心としての中東の重要性が低下している、という話。

中東で油田が発見されてから、戦後は米ソが介入し紛争が続いていた。 しかし、21紀のシェールガス革命により原油天然ガスともに生産量がトップとなったアメリカは中東依存度を下げ、中東関与をやめている。シリアから米軍を撤退したのもその一環。 また、ロシアも原油3位、天然ガス2位の生産量。 アメリカ、ロシア、中東で資源の売り込み競争が始まっている。

エネルギー資源は中東から輸入しているイメージが強くあったので、アメリカが資源大国になっているとは驚いた。日本もアメリカからの輸入の割合が大きくなってくるのかな。 エネルギー資源は日本は輸入に頼りまくっているからまずいと聞いたことはあるけど、この辺の事情もさっぱりなので勉強したいな。シェールガス革命って何ってところから。